「COAはあるのに不適合」典型5パターンと対処法
この記事の要点
- 「COAがある」ことと「適合と判定できる」ことは別で、COAの存在だけでは不適合を防げません
- 不適合の典型パターンはLOD未記載・区分誤り・ロット不一致・検査項目不足・換算ミスの5つに整理できます
- パターンごとに対処法が異なるため、まずどのパターンに該当するかを特定することが重要です
「検査を受けてCOAも提出しているのに、なぜか不適合と判定される」という相談は少なくありません。原因の多くは、COAの数値そのものではなく、記載事項の不備や解釈のずれにあります。ここでは実務でよく見られる5つの典型パターンと、それぞれの対処法を整理します。
パターン1: LOD未記載
症状: Δ9-THCが「ND(不検出)」と記載されているが、LOD(検出限界)の数値が書かれていない。
なぜ不適合になるか: NDという表記だけでは、検査機器がどこまで低い濃度を検出できるかが分からず、規制値以下であることを確認できません。LODが規制値より高ければ、実際には規制値を超えていてもNDと表示される可能性があります。COA Guardianの判定ロジックでは、LOD/LOQの数値が記載されていない場合、製品区分を問わず「適合を確認できない」として扱います。
対処法: 検査機関にLODの数値を明記した再発行を依頼します。多くの場合、追加検査ではなく既存データの開示(記載様式の変更)で済みます。詳しい計算方法はLOD/LOQ未記載のCOAで適合判定してよいかを参照してください。
パターン2: 区分誤り(Vape=その他1ppm等)
症状: Vapeリキッドやカートリッジ製品のCOAを、油脂区分(10ppm)で判定してしまっている。
なぜ不適合になるか: 日本の残留限度値は製品区分ごとに異なり、油脂(オイル・カプセル)は10ppm以下ですが、Vapeリキッド・カートリッジ・吸入用濃縮物は「その他」区分として1ppm以下が基準になります。液体だから油脂、という判断は誤りです。
| 製品区分 | 残留限度値 |
|---|---|
| 油脂(オイル・カプセル) | 10 ppm以下 |
| 粉末(パウダー) | 10 ppm以下 |
| 水溶液(飲料) | 0.1 ppm以下 |
| その他(Vapeリキッド・グミ・化粧品等) | 1 ppm以下 |
対処法: 製品の実態(経口摂取か吸入用か、固形か液体か)に基づいて区分を再確認します。10ppm以下だから安心、と思っていた製品が実は1ppm基準の「その他」に該当し、不適合に転じるケースは珍しくありません。
パターン3: ロット不一致・古いCOA
症状: COAは有効だが、検査対象ロットが現在取り扱っている製品のロットと異なる。あるいは発行から長期間が経過している。
なぜ不適合になるか: COAは検査した特定ロットの分析結果であり、別ロットの品質を保証するものではありません。原料のサプライヤーが同じでも、収穫時期や製造バッチが変われば成分は変動します。
対処法: 製品ロットとCOAのロット番号を必ず照合します。ロットが変わるたびに新しいCOAを取得する運用をルール化してください。ロット一致の確認手順はCOAの「有効性」チェックで詳しく解説しています。
パターン4: 検査項目不足
症状: Δ9-THCしか検査されておらず、Δ9-THCAや禁止カンナビノイドの検査結果がない。
なぜ不適合になるか: Δ9-THCAは加熱によってΔ9-THCに変換されるため、Δ9-THCAの検査結果がないと総THC値を正確に算出できない場合があります。また、Amazon・楽天等のモール審査では、モールごとに求める検査項目の粒度が異なることがあります。
対処法: Δ9-THCのみの検査結果しかない場合は、Δ9-THC単体の数値で判定はできますが、Δ9-THCAが多く含まれる原料(生の植物由来原料等)ではリスクが残ります。可能であればΔ9-THCAも含めた検査を依頼してください。
パターン5: 換算ミス
症状: COAの単位(%、mg/kg、ppm)を読み違えて、実際は規制値超過なのに適合と判断してしまう。
なぜ不適合になるか: 単位の換算を誤ると、桁違いの判定ミスにつながります。
1% = 10,000 ppm = 10,000 mg/kg
0.001% = 10 ppm
0.0001% = 1 ppm
0.00001% = 0.1 ppm
計算例: COAに「Δ9-THC: 0.0015%」と記載されていた場合、0.0015% = 15 ppmとなり、油脂区分(10ppm以下)では超過、その他区分(1ppm以下)では大幅に超過します。「0.0015」という数字だけを見て「10ppm以下だから適合」と誤読するミスが実務でよく起きます。
対処法: COAの単位表記を必ず確認し、ppm表記に統一してから規制値と比較する習慣をつけてください。
まとめ:不適合パターンの切り分けチェックリスト
不適合と判定された場合、まず次の順で確認してください。
☐ LODの数値が記載されているか(パターン1) ☐ 製品区分の判定が実態と合っているか、特にVape・吸入用製品でないか(パターン2) ☐ COAのロット番号が実際の製品と一致しているか(パターン3) ☐ Δ9-THCAを含めた検査項目が揃っているか(パターン4) ☐ 単位換算にミスがないか(パターン5)
これらのパターンはCOA自体の品質問題であることが多く、再検査ではなく記載様式の確認や区分の再検討だけで解決するケースも少なくありません。判定の全体的な流れはCOAセルフチェック7ステップ、コンプライアンス対応全体の地図はCBD製品コンプライアンスチェック完全ガイドを参照してください。
よくある質問
COAがあるのに不適合と言われるのはなぜですか?
COAの存在自体は適合の証明にはならず、LOD記載・製品区分・ロット一致・検査項目・単位換算のいずれかに不備があると不適合扱いになるためです。
不適合と判定されたら、まず何をすべきですか?
どのパターンに該当するかを特定し、再検査・区分の見直し・サプライヤーへの追加資料請求のいずれが必要かを切り分けます。
同じCOAを別の製品にも使い回してよいですか?
ロットが異なれば使い回しはできません。ロットごとに新しいCOAが必要です。
出典・参考情報
執筆: COAガーディアン編集部(運営: Asabis株式会社)
本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、法的助言ではありません。個別の輸入可否・規制適合性・出品可否については、厚生労働省等の一次情報の確認や専門家へのご相談のうえでご判断ください。
関連記事
LOD/LOQ未記載のCOAで適合判定してよいか
COAにLOD/LOQの数値が記載されていない場合、Δ9-THCがNDと書かれていても適合と判定できません。その理由と、LOD/LOQが記載されている場合のワーストケース計算例を実務目線で解説します。
COAの「有効性」チェック:ロット一致・発行日・サンプル代表性
THCの数値が規制値内でも、ロット番号の不一致や別商品のCOAの流用があれば、そのCOAは実質的に無効です。ロット照合・発行日確認・サンプル代表性という有効性確認の実務手順を解説します。
CBD製品コンプライアンスチェック完全ガイド
CBD製品の販売前コンプライアンスは、COA入手から適合判定・輸入確認・EC出品準備まで4工程に分かれます。各工程の要点と詳細記事へのリンクを一つの流れとして整理する完全ガイドです。