海外ラボ発行のCOAを日本の規制に読み替える方法
この記事の要点
- 米国ラボのCOAは%表記・Total THC・州基準のPass/Failが中心で、日本のppm基準とは前提が異なります
- %→ppmの換算は「1%=10,000ppm」を基準に行い、Total THCはΔ9-THC+Δ9-THCA×0.877で計算します
- 米国COAの「Pass」表記は日本の合否と無関係。必ず自分で製品区分別の残留限度値と照合し直す必要があります
海外ラボのCOAはそのまま日本の判断材料にできる?
CBD原料・製品を海外から輸入する事業者の多くは、米国や欧州のラボが発行したCOA(分析証明書)を受け取ります。しかし、これらのCOAに書かれている数値や合否表示は、そのままでは日本の規制適合性の判断材料になりません。
海外COAと日本の規制では、表記単位・合否の判定基準・製品区分の考え方がそれぞれ異なるためです。輸入前に「読み替え」の手順を踏まないと、記載上は「Pass」でも日本では不適合という事態が起こり得ます。
米国COAによくある表記の特徴
米国のラボが発行するCOAには、次のような特徴があります。
- 含有量は%(重量パーセント)表記が中心。ppmやmg/kgでの記載は少数派です
- Total THCは多くの場合「Δ9-THC + Δ9-THCA × 0.877」で計算され、日本の計算式と同じ考え方です
- **合否判定(Pass/Fail)**は、その州や連邦のヘンプ定義(多くは乾燥重量比でΔ9-THC 0.3%以下)に基づいており、日本の製品区分別の残留限度値とは基準がまったく別物です
このうち3点目が最も誤解されやすいポイントです。COA上の「Pass」は「米国のヘンプ定義を満たす」という意味であり、「日本で販売できる」という意味ではありません。
「Pass」と書かれているCOAは日本の基準もクリアしている?
結論から言うと、米国COAの「Pass」表記だけでは日本の適合性は判断できません。
日本の規制(改正大麻取締法・厚生労働省告示、2024年12月12日施行)では、製品区分ごとにTotal THCの残留限度値が定められています。
| 製品区分 | THC残留限度値 |
|---|---|
| 油脂・粉末 | 10ppm以下 |
| 水溶液(飲料) | 0.1ppm以下 |
| その他(菓子・グミ・化粧品・Vape等) | 1ppm以下 |
米国のヘンプ定義(乾燥重量比0.3%=3,000ppm)は、日本のどの区分の限度値と比べても大幅に緩い基準です。つまり米国で「Pass」の原料でも、日本の限度値に換算すると大きく超過しているケースは珍しくありません。COA上の合否表示は無視し、必ず実測値をppmに換算して自分で判定し直してください。
%→ppm換算の実務
換算の基準は単純です。
1% = 10,000ppm
具体例で見てみましょう。あるオイル製品の米国COAに、次のように記載されていたとします。
- Δ9-THC: 0.0003%
- Δ9-THCA: 0.0002%
これをppmに換算すると:
- Δ9-THC: 0.0003 × 10,000 = 3ppm
- Δ9-THCA: 0.0002 × 10,000 = 2ppm
Total THC(ワーストケース)は次の式で計算します。
Total THC = Δ9-THC + Δ9-THCA × 0.877
上記の例では、3 + 2 × 0.877 = 3 + 1.754 = 4.754ppm となり、油脂区分の限度値10ppm以下に収まるため適合です。
一方、同じCOAがΔ9-THC 0.005%・Δ9-THCA 0.003%だった場合は、50ppm + 26.31ppm = 76.31ppmとなり、油脂の限度値10ppmを大きく超過します。桁が小さい%表記でも、ppmに換算すると規制値超過になるケースが多いため、必ず実際に計算することが重要です。
製品区分の対応づけにも注意する
米国COAでは「Tincture」「Oil」「Vape Cartridge」といった製品カテゴリ名が使われますが、これらを日本の区分(油脂・粉末・水溶液・その他)にそのまま対応させられるとは限りません。特に注意が必要なのは次の点です。
- Vapeリキッド・カートリッジは「油脂」ではなく「その他」区分(限度値1ppm)として扱われます
- Tincture(チンキ剤)は油脂ベースなら「油脂」区分、水ベースなら「水溶液」区分に該当する可能性があります
- 米国で「Beverage」と表記されていても、日本の「水溶液」区分(限度値0.1ppm)に該当するかは成分構成を確認する必要があります
区分を誤ると、適用する限度値そのものを間違えることになるため、COAフォーマットの横断比較も参考に、製品の実態から区分を判断してください。
検査機関の情報も確認する
海外ラボのCOAでは、ISO/IEC 17025認定の有無や認定番号の記載も確認しましょう。厚生労働省の「Δ9-THC検査可能機関」リストには、Anresco Laboratories、Eurofins Food Chemistry Testing US、KCA Laboratories LLCなど海外機関も掲載されています。掲載機関かどうかは厚労省リストの確認方法で詳しく解説しています。
海外ラボのCOAをアップロードするだけで、この%→ppm換算と製品区分別の適合判定を自動で行うツールとして、COAガーディアンを無料でお試しいただけます。
まとめ:海外COA読み替えのチェックリスト
☐ Δ9-THC・Δ9-THCAの値を%からppmに換算した ☐ Total THC = Δ9-THC + Δ9-THCA × 0.877 で計算し直した ☐ 米国COAの「Pass/Fail」表記は無視し、日本の製品区分別限度値と比較した ☐ 製品の実態(成分構成)から日本の区分(油脂・粉末・水溶液・その他)を判断した ☐ LODの単位もppmに統一し、ワーストケース評価を行った ☐ 検査機関のISO/IEC 17025認定・厚労省リスト掲載の有無を確認した
海外COAの読み替えは機械的な作業に見えて、区分判断や単位換算のミスが起こりやすい工程です。判断に迷う場合は、CBD製品コンプライアンスチェック完全ガイドもあわせてご確認ください。
よくある質問
米国COAの『Pass』表記は日本でも合格を意味しますか?
意味しません。米国の合否は各州のヘンプ定義(乾燥重量比0.3%等)に基づくもので、日本の製品区分別ppm規制とは判定基準が異なります。
%からppmへの換算はどう計算すればよいですか?
1%=10,000ppmで換算します。例えばΔ9-THC 0.0003%なら0.0003×10,000=3ppmです。Total THC計算にも同じ倍率を使います。
海外ラボのCOAでも厚労省の基準を満たせば輸入・販売できますか?
COAの記載が日本の残留限度値内であることに加え、検査機関の信頼性や製品区分の妥当性も含めて総合的に確認する必要があります。
LOD(検出限界)の単位も換算が必要ですか?
必要です。LODが%やmg/kgで記載されている場合も同じ倍率でppmに統一してから、ワーストケース評価を行います。
出典・参考情報
執筆: COAガーディアン編集部(運営: Asabis株式会社)
本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、法的助言ではありません。個別の輸入可否・規制適合性・出品可否については、厚生労働省等の一次情報の確認や専門家へのご相談のうえでご判断ください。
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