海外サプライヤーへのCOA要求の仕方:英文依頼の要点と確認項目
この記事の要点
- COA依頼では「ロット固有」「フルパネル」「LOD/LOQ明記」「ISO/IEC 17025認定ラボ」の4点を明示的に伝えることが必須です
- 曖昧な英文依頼は、日本の残留限度値に対応しない汎用COAが返送される原因になります
- 返送されたCOAは受入時にロット番号・区分・LOD記載の3点をその場で確認します
海外サプライヤーからCBD原料や完成品を仕入れる際、多くの担当者が「COAをください」とだけ伝えて、後から使えないCOAが届いて困る場面に直面します。原因の多くは、依頼時点で日本の規制に必要な条件を明示していないことにあります。この記事では、依頼文に何を書くべきか、実際の英文フレーズ例とあわせて整理します。
サプライヤーへのCOA依頼で明示すべき4項目とは?
COAは「あればよい」書類ではなく、どのロットの何を測定したかが明確でなければ日本での適合判定に使えません。依頼時点で以下の4点を明示することが実務上の起点になります。
1. ロット固有であること(Lot-specific)
サプライヤーによっては、過去に取得した代表ロットのCOAを使い回して送ってくることがあります。実際に仕入れるロットと番号が一致しないCOAは、そのロットの品質を保証しません。依頼文には対象ロット番号を明記します。
2. フルカンナビノイドパネルであること(Full panel)
Δ9-THCのみの単項目試験ではなく、Δ9-THCA・CBN・THCP等を含むフルパネルを求めます。禁止カンナビノイドはCOAに項目自体が存在しないと見落とされるため、パネルの範囲を依頼時に指定します。
3. LOD/LOQを数値で明記させること
「ND(Not Detected)」という結果だけでは、日本の規制上は不十分な場合があります。検出下限(LOD)・定量下限(LOQ)が規制値を下回っているかを確認する必要があるため、依頼文で数値記載を明示します。
4. ISO/IEC 17025認定ラボでの測定であること
認定ラボかどうかは、COA上の認定マークや認定範囲(スコープ)に該当項目が含まれているかで判断します。認定を持たないラボの結果は、モール出品審査や取引先への提示で追加確認を求められることがあります。
そのまま使える英文依頼フレーズ例
以下は、サプライヤーへのメールにそのまま組み込める依頼文の例です。自社の製品区分や検査項目に合わせて調整してください。
Could you please provide a Certificate of Analysis (COA) specific to
this production lot (Lot #_______), including:
1. A full cannabinoid panel (not limited to Δ9-THC), covering at
minimum Δ9-THC, Δ9-THCA, CBD, CBN, and THCP.
2. Numerical Limit of Detection (LOD) and Limit of Quantification
(LOQ) values for each cannabinoid tested — not only "ND" results.
3. Confirmation that testing was conducted by an ISO/IEC 17025
accredited laboratory, with the accreditation scope covering
cannabinoid potency testing.
4. The test method used (e.g., LC-MS/MS) and the sample collection
date.
This is required for compliance confirmation under Japan's residual
THC limit regulation. Thank you for your support.
依頼文には「なぜ必要か」を一言添えると、サプライヤー側の理解が早まり、やり取りの往復が減ります。日本の残留限度値が国際的な「THC 0.3%以下」基準とは単位も考え方も異なる点は、必要に応じてCBD原料の由来確認の記事もあわせて共有すると説明の助けになります。
依頼してもよくある返送パターンと対処
依頼文を送っても、意図どおりのCOAがそのまま返ってくるとは限りません。よくあるパターンと対処を整理します。
- 「ND」とだけ書かれ、LOD/LOQの数値が記載されていない: 再依頼し、検査機関に問い合わせて数値を追記してもらうよう求めます。数値の追記に対応できない場合、そのラボでの再試験を検討します
- 代表ロットのCOAが送られてくる: ロット番号を再確認し、対象ロットと一致していない旨を伝えて再送を依頼します
- Δ9-THCのみの単項目結果しか出てこない: フルパネルでの再試験を依頼します。禁止カンナビノイド(HHC等)の項目が存在しないCOAは、判定材料として不十分です
- 英語以外の言語でCOAが発行される: 検査機関に英語版の発行可否を確認します。対応できない場合は、重要数値を自社で日本語に転記し、原本と突き合わせられる形で保管します
返ってきたCOAをどう受け入れ判定するか
依頼どおりのCOAが返送されても、そのまま採用してよいかは別途確認が必要です。受入時の最低限のチェック項目は次のとおりです。
☐ ロット番号が発注・入荷したロットと一致しているか ☐ 製品区分(油脂・粉末・水溶液・その他)に対応した換算ができるか ☐ Δ9-THCの結果にLOD/LOQが数値で記載されているか(ND表記のみは不可) ☐ 検査機関がISO/IEC 17025認定を保有し、スコープに該当項目が含まれるか ☐ 検査日・サンプル採取日が仕入れロットの製造時期と整合しているか
海外ラボのCOAはフォーマットが機関ごとに異なり、日本の区分にそのまま当てはめられないこともあります。読み替え方の詳細は海外ラボ発行のCOAを日本の規制に読み替える方法で解説しています。COAが揃った後は、輸入前確認の全体像としてCBD輸入前確認の実務ガイドもあわせて確認しておくと、必要書類の抜け漏れを防げます。
COAガーディアンでは、受領したCOAをアップロードするだけで、区分ごとの適合判定・ラボの厚労省登録有無・ISO認定の記載確認を無料で行えます。依頼文を送る前後の判断に活用できます。
まとめ:依頼文チェックリスト
☐ 対象ロット番号を明記したか ☐ フルカンナビノイドパネルを依頼したか ☐ LOD/LOQの数値記載を明示的に求めたか ☐ ISO/IEC 17025認定ラボでの測定であることを確認したか ☐ 検査方法(LC-MS/MS等)とサンプル採取日の記載を求めたか
依頼時点でこれらを明示しておくことが、後工程での「COAはあるのに使えない」という手戻りを防ぐ最も確実な方法です。
よくある質問
サプライヤーがCOAを英語でしか出せない場合、日本語訳は必須ですか?
法令上は必須ではありませんが、社内確認・モール出品審査・行政照会に備えて、重要数値(THC値・区分・ロット番号)だけでも日本語メモを添えておくと実務が円滑になります。
サプライヤーが「業界標準のCOA」しか出してくれない場合は?
日本向けの残留限度値(油脂・粉末10ppm等)に対応した測定範囲かをまず確認し、対応していなければ該当ロットの追加試験を依頼するか、別ロット・別ラボでの再試験を検討します。
COAの再発行を断られたらどうすればよいですか?
サプライヤー経由でなく、COAに記載された検査機関に直接ロット番号を伝えて再発行を依頼できる場合があります。応じない場合は、そのロットの採用自体を見直す判断材料になります。
無償サンプルにもCOAを求めてよいですか?
販売を前提に検討している原料であれば、サンプル段階からロット固有のCOA提供を求めるのが実務上の基本です。サンプルと量産ロットで成分が異なるケースもあるため、量産移行時の再取得も依頼しておきます。
出典・参考情報
執筆: COAガーディアン編集部(運営: Asabis株式会社)
本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、法的助言ではありません。個別の輸入可否・規制適合性・出品可否については、厚生労働省等の一次情報の確認や専門家へのご相談のうえでご判断ください。
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